ローリエは、料理に深みや香りを加える香辛料ですが、長時間煮込めば煮込むほど良いというわけではありません。
実は、料理の種類や使う素材によって「取り出すタイミング」が異なります。
たとえば、肉料理では30分程度が目安ですが、魚介を使う料理では10分前後で取り出すのが基本です。
タイミングを誤ると、えぐみが出たり香りが強くなりすぎたりして、せっかくの料理が台無しになってしまうこともあります。
この記事では、ローリエを「入れるタイミング」と「取り出すタイミング」を、料理法や素材別に詳しく解説します。
最後まで読めば、料理に合わせたローリエの使い方が分かり、味も香りもワンランク上に仕上げられます。
ローリエを取り出すタイミングとは?
料理に香りを移すには、入れるタイミングと取り出すタイミングの両方が重要です。
ローリエを入れるタイミングはいつ?
ローリエは、基本的に煮込み始めのタイミングで加えるのが一般的です。
その理由は、加熱することで香りが立ち、食材に自然と香味が移っていくからです。
特に水分が多い料理では、早めに入れておくと香りが全体に行き渡りやすくなります。
たとえば、シチューやスープでは、水から煮出す段階でローリエを入れると、くさみを抑えながら奥行きのある風味を引き出すことができます。
また、カレーなどスパイスを多く使う料理でも、最初に加えておくことで、素材の下ごしらえと同時に香りづけが可能です。
したがって、ローリエは「煮込みのスタート時」に加えるのが最適といえます。
さて、入れるタイミングが分かったところで、次はどのタイミングで取り出すのが良いのかをみていきます。
取り出すタイミングはいつが正解?
ローリエは、入れてから15~30分以内に取り出すのが基本とされています。
長く入れすぎると、葉の渋みやえぐみが出てしまい、料理の味を損ねる恐れがあるためです。
たとえば、肉を使ったシチューやポトフでは、煮込み始めてから30分ほどで取り出すのが理想的です。
一方で、魚や貝を使った料理は、香りが移りやすいため、10分程度で十分といわれています。
さらに、スープやトマト煮込みの場合は、味が完成する少し前に取り出すと、見た目も美しく仕上がります。
すでにお伝えした通り、香りを引き出すことが目的なので、ローリエの存在を忘れず、加熱中に取り出すことが大切です。
ここまでで、基本的なタイミングについて説明しました。
次に、具体的な素材や料理ごとの違いをみていきましょう。
素材別・料理法別のローリエの取り出しタイミング
食材や調理法によって香りの移り方は異なるため、取り出す時間も変わってきます。
肉料理(シチュー・煮込み)の場合
肉料理では、30分前後で取り出すのが基本です。
その理由は、牛肉や鶏肉などの動物性たんぱく質には独特のくさみがあり、それを和らげるためにローリエの香りが効果的だからです。
たとえば、ローストビーフでは、マリネの段階で短時間加えるだけで十分ですし、ポトフなど長時間煮込む料理では、30分前後で香りが十分に移ります。
さらに、豚肉など脂が多い素材は、ローリエの香りを取り入れる時間をやや長くすることで、脂のくどさを抑えることができます。
以上のことから、肉料理では30分以内を目安に取り出すのが適切といえます。
魚やシーフード料理では少し違う対応が必要ですので、次の章で見ていきましょう。
魚・シーフード料理の場合
魚料理では、10分以内に取り出すのがベストです。
というのも、魚介類は香りが移りやすく、ローリエを長く入れておくと香りが強く出過ぎてしまうことがあるからです。
さらに、魚のくさみを消すために使われることが多いため、加熱の最初の段階で入れ、早めに取り出すのが理想です。
たとえば、白身魚の煮付けやアクアパッツァでは、香りが立ち始めた段階でローリエを抜くことで、食材本来の風味を活かすことができます。
また、貝類を使った料理では、火が通るのが早いため、5~7分ほどで取り出すのが良いとされています。
魚やシーフード料理では、香りを引きすぎないよう、早めの取り出しが大切です。
最後に、スープやトマト料理での扱いについてみていきます。
スープ・カレー・トマト料理の場合
スープやカレーでは、味の調和を考えた時間で取り出すことが重要です。
ローリエは酸味や旨味の強い料理との相性が良く、香りをうまく活かすことで味がまとまります。
スープでは、煮立ってから10~20分程度で取り出すのが一般的です。
トマトを使った煮込みやカレーでは、酸味を和らげるために最初から入れ、煮込み時間の半ば~終盤で取り出すと、見た目の仕上がりも良くなります。
とくに、長時間煮込むと葉が崩れ、見た目を損なうこともあるため、形が残っているうちに取り出すようにしましょう。
スープやトマト料理では、風味と見た目の両立を考慮した取り出しが必要になります。
よくある疑問
ローリエを使う際には、取り扱いに関していくつかの疑問が出てくることもあります。
ここでは、よくある質問に分かりやすくお答えします。
ローリエは食べてもいいの?
ローリエは基本的に食べるための葉ではありません。
実際に口にすると、硬く繊維質で、噛み切ることも難しく、口当たりもよくありません。
さらに、消化しにくいため、胃腸に負担がかかる可能性があります。
特に、小さなお子さんや高齢の方が誤って食べてしまうと、消化器官を傷つけるリスクもあります。
また、アレルギーを持つ方は、体質によっては過敏に反応する可能性もゼロではありません。
そのため、調理後は必ず取り出して、食べないようにすることがすすめられます。
ローリエを刻む・潰すと効果は変わる?
ローリエを刻んだり潰したりすることで、香りの出方が大きく変わります。
刻むと葉の表面積が広がるため、香りの抽出が早く、強く出るようになります。
潰すことで葉の中に閉じ込められた香り成分が放出され、より短時間で風味が移ります。
ただし、香りが強く出すぎたり、細かくなった葉が料理の中に残ってしまうと、口に入ったときに不快感を与えるおそれがあります。
また、取り出しにくくなる点にも注意が必要です。
香りを短時間で引き出したい場合は有効ですが、料理の見た目や食べやすさを考えると、使用方法は目的に応じて使い分けることが大切です。
ローリエを再利用しても大丈夫?
基本的にローリエの再利用はおすすめできません。
調理に使用したローリエは、すでに香り成分の多くを放出しており、再び使用しても十分な効果が得られないためです。
とくに煮込みや加熱調理に使った後は、成分が抜けきっている場合がほとんどです。
また、一度火を通したものを再度使用すると、風味が悪くなるだけでなく、衛生面でも不安が残ります。
湿気を含んだ状態で保管すると、カビの原因になることもあります。
未使用であっても、開封後は密閉して冷暗所に保存し、香りがしっかり残っているうちに使い切るのが理想です。
まとめ
ローリエの扱い方には「入れるタイミング」と「取り出すタイミング」があり、それぞれの料理や素材に応じて変える必要があることをお伝えしました。
また、食べることの可否や刻み方、再利用の可否についても理解しておくことで、より安全で美味しい料理作りが可能になります。
調理の目的に応じて、ローリエを適切に活用していきましょう。